診療一口メモ
近視進行予防はできるのか?
近年世界中で近視は増加傾向にあり日本を含む東アジアでは有病率が高く、既に人口の半数を超えています。近視の進行は非可逆的であり、強度近視に伴う網膜剥離、近視性網膜症、近視性黄斑変性症を合併し重篤な視機能低下に至ります。学童期の近視の進行を抑制することができれば重篤な眼疾患による失明リスクを軽減できます。
学童期の近視進行予防アプローチ
- ① 環境アプローチは屋外活動が有効で、1日1時間の屋外活動を増やすことにより近視の進行や発症を13%抑制できると言われています。
- ② 薬物アプローチは低濃度(0.01%)アトロピン点眼で50%近視を抑制すると報告があります。しかし学童への長期投与の安全性はいまだ未知の部分があり安易には使用できません。
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光学的アプローチは眼鏡装用とコンタクト装用による方法があります。
眼鏡装用は副作用が少なく容易に導入できます。一般的に眼鏡による近視進行抑制は11~21%で抑制効果は少ないとされています。
そこで注目されているのが多焦点・焦点深度拡張(遠近両用)コンタクトレンズです。しかしそのメカニズムを一元的に説明はできませんが、多焦点ソフトコンタクトレンズの近視進行抑制効果は眼鏡装用よりも明らかに高いと言われています。
また近年オルソケラトロジーによる近視進行抑制も注目されています。オルソケラトロジーとは就寝中に特殊ハードコンタクトを装用して角膜の形状変形を起こし近視を矯正する方法です。近視進行抑制は30~60%程度の抑制効果が期待できます。しかし20歳未満は慎重処方となっているので一般的にはなっていません。
定期的な視力チェックを受けて近視になる前に眼科専門医にご相談ください。
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岡山市医師会“診療一口メモ”係