診療一口メモ

卵巣嚢腫について

岡山市では6月から12月まで子宮がん検診をしていますが、その際、卵巣嚢腫と言われた方もおられることと思います。

子宮の左右に、卵巣といって女性ホルモンを分泌する臓器があります。元々は拇指頭大の大きさなのですが、そこが腫大してくることがあります。液体が貯留してくる病気が卵巣嚢腫です。また充実した成分ができる卵巣腫瘍、卵巣がんなどもあるため、検診で卵巣が腫れていると言われた方は、精密検査を受けることをお勧めします。元来、卵巣は症状が出にくい沈黙の臓器と言われます。症状が出にくいため発見が遅れることがよくみられます。症状があるとしたら、月経不順になったり、月経痛がひどくなったり、不正性器出血がおこったり、時に帯下(おりもの)が増えたり、性交時の痛みがあったりして卵巣の腫れが発見されることがあります。検査としては、まず経膣超音波検査を行うことで、ある程度、良性悪性の目安はつきますが、MRI検査、腫瘍マーカー(CA125、CA19-9、CEA、HE4等)の血液検査を行い、より確かな診断をしていきます。経膣超音波検査は1分程度、MRI検査は40分程で終わります。

また、米国の女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)のため、予防的に乳房、卵巣を摘出されたことが、以前ニュースになりましたが、自分自身が乳がんになった方や身内に若くして乳がんや卵巣がんになった方がおられる方は、検診をお勧めします。精密検査をして、例えば、子宮内膜症性卵巣嚢腫や卵巣出血、多嚢腫性卵巣などであれば、薬物治療ができます。また、女性ホルモンのバランスがくずれて卵巣嚢腫となった場合は、バランスを整える薬物療法で正常に戻ることもあります。

奇形種や卵巣がん等の充実性腫瘍の場合は、手術治療となります。良性腫瘍であれば最近では体の負担が少ない腹腔鏡手術が行われます。

卵巣嚢腫は、小児から高齢者まで発症する病気なので、年齢に関係なく検診を行うようにしてください。検診で指摘された場合は、必ず産婦人科または婦人科を受診して早目の対応をするようにしてください。/p>

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